ひとりあそび
気ままに、読んだ本の感想を中心に綴っています
2017/11/27 Mon.
小説家・裏雅の気ままな探偵稼業 /丸木文華  
ファンには嬉しい組み合わせです。
集英社 (2017-11-17)
売り上げランキング: 32,387
売れない小説家・裏雅が「真珠姫」と呼び、ひそかに観察を続けているのは、彼を「雅兄様」と慕う伯爵令嬢の茉莉子。一見おっとりとして可愛らしい茉莉子だが、雅は彼女の秘められた特性に興味を禁じ得ない。茉莉子はある日、「本業の小説のほうはさっぱりだが推理力には定評のある」雅のもとに、女学校で噂になっている不可思議な「幽霊」の話をしに来るのだが…?
舞台は大正時代の女学校が舞台で非常に百合百合しい内容で、純粋故に自分の世界を壊すものには幾らでも残酷になれるのよ、という感じで結構毒々しい感じでした。
周りにはおっとりした可愛らしい子として(そんな風に演じている)みられているけど、本当は感情などが欠落していてどこか空っぽで、死んだ子猫の死体を自分との部屋の引き出しにしまってしまうようなどこか異質な少女茉莉子を気に入っていて、彼女を観察しつつ通っている青山にある女学校で起こった事件を推理するけど解決はしないという話でした。好奇心を満たす為なら、それがきっかけで人が死のうとも構わないという感じなので、まぁ色々欠落しているんだね。
茉莉子も幼馴染に異常な執着をされてて(本人は気づかず)この異質な感じが人を」惹きつけるのかもしれない。ただ彼女にどれだけ好意を向けようとも、気づかれないだろうけど(感情を理解できないから)
読み切り形式でしたが、兄様を食べてしまいたい茉莉子とそんな彼女を観察し続ける売れない小説家の不思議なやりとりをもっと読みたいなぁと(もちろんカスミとオボロも続き待ってますよ!)
今回、コバルト本誌に短編が載っていた(ホラー特集で扉絵はCielさん)「珠代」も同時収録されていて(青山の女学校に通っている令嬢たちが登場人物ですが表題作とは繋がってないと思う)、自分が崇拝していた同級生がただの醜い女だとわかったとき、そんな彼女に失望して・・・という感じで色んな意味でゾクッとする話なのでオススメです。文章も読者が聞き手(この話でいうと先生=読者なのかな、と)な感じに進むのも面白く同時収録されて嬉しかったです。
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