ひとりあそび
気ままに、読んだ本の感想を中心に綴っています
2015/11/09 Mon.
最後の王妃/白洲 梓 
コバルトの新人さんでノベル大賞受賞作品です。
ルクレツィアは、15歳でアウガルテン王国の皇太子妃となった。しかし皇太子シメオンは一度も彼女の部屋を訪れることはなく、後日、シメオンがマリーという下働きの娘を愛していると判明。ほどなく国王が崩御し、ルクレツィアは王妃となった。そして側室となったマリーが懐妊。それでも王妃としての務めを果たそうと懸命なルクレツィアだったが、隣国に攻め込まれた王国は敢えなく陥落し…?
あらすじをみてからすごく楽しみにしていた作品で、実際読んでみてすごく面白かったです!
15歳で王妃となったルクレツィア。王妃になるために教育されてきた事もあって(彼女自身も真面目)必死に自分の勤めを果たそうとするんですが、王は側室のマリーに夢中かつ為政者としてはイマイチ・・・そして周りの人間も寵愛されていない王妃には冷たい・・・それでも必死に王妃であろうとするルクレツィアが痛々しい。読んでいてすごくルクレツィアに感情移入してしまって、王と頭がゆるふわ系なマリーにイライラしてしまった(笑)しかも今までの鬱憤がたまり感情的になったルクレツィアに言い放った一言、「政略で仕方なく結婚したけど、本当はマリーを正妃にしたかった!」逆切れかよ!!とクワッ
まぁそんな王だったので、隣国に攻め込まれてあっけなく陥落。王、寵妃であるマリー、王子たちは自害。それをみたルクレツィアが呟いた「さいごの、さいごまでわたくしはのけものですか」になんとも言えない気持ちに
母国滅亡後、元王妃として軟禁されてて日々淡々と過ごしていたルクレツィアだったけど、世話役のティアナと出会いまた内乱に巻き込まれてしまうんだけどその過程で徐々に彼女自身も良い方向に変わっていって・・・
彼女が王妃としてやってきた事をちゃんとみてるひとも確かにいるし、王妃としてやってきた事が無駄ではなかったというのがとても良かったです。
ルクレツィアが波乱万丈過ぎて糖度は少なめなのかな?と思ったけど、メルヴィンと再会してからと結構詰め込まれてて満足。メルヴィン殿下一目ぼれだし一途過ぎだし、ルクレツィアも初心なのでピュアカップルごちそうさまでした。
ルクレツィアが大人になって恋をしったというのもあると思うんだけど、終盤で夫であった王に対する思いが変化していったというのが印象に残っています。相手は自分の事を疎んじてたけれどそれは自分も同じ。自分は好かれようとする努力をしていた?彼の前で笑顔になってた?と後悔する姿に考えさせられました。そしてラストの3人で自害したのはのけものにしたかったのではなく、陛下がこの時間(メルヴィンと結婚して幸せになろうとしている)をあたえてくれたんだ、と考えられるって素敵ですよね。
物語自体も面白かったんですが、セリフとかにすごく力があり色々考えさせられる作品だったと思います。個人的にティアナの笑顔でいる理由とかになるほど!そうだよなぁ・・・となりました。
こうゆう作品があるから少女小説読みは止められないんですよね。
« 公爵令嬢の嗜み/澪亜
身代わり伯爵の結婚行進曲VI/清家 未森 »
コメント
トラックバック
トラックバックURL
→http://alleinigesspielen.blog.fc2.com/tb.php/454-e43c467a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| h o m e |