ひとりあそび
気ままに、読んだ本の感想を中心に綴っています
2013/03/22 Fri.
ブランコ乗りのサン=テグジュペリ/紅玉 いづき 
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20世紀末に突如都市部を襲った天災から数十年後、震災復興のため首都湾岸地域に誘致された大規模なカジノ特区に、客寄せで作られたサーカス団。花形である演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業したエリートのみ。あまたの少女達の憧れと挫折の果てに、選ばれた人間だけで舞台へと躍り出る、少女サーカス。天才ブランコ乗りである双子の姉・涙海の身代わりに舞台に立つ少女、愛涙。周囲からの嫉妬と羨望、そして重圧の渦に囚われる彼女を、一人の男が変える。「わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい」。
sari-sariで連載されてた「少女サーカス」が書籍化!1話以降、本誌が有料になってしまって読めてなかったので発売を楽しみにしてた作品。
一見、華やかにみえる舞台だけどその裏では・・・という感じで雰囲気は全体的に暗い感じ。
何人ものライバル達を踏みにじって、手にした花形というポジションは一見羨望の対象だけど、実際はすごいプレシャーで(嫌がらせもあるみたいだし)読んでて胃がキリキリ。
サン=テグジュペリ、カフカ、アンデルセン、チャペックどの役持ちたちもみんな心に暗いものを抱えていて、どこか歪なんだけどその不完全さが美しい。一瞬の輝きの為に、自分の全てを掛けて演技をする姿がとてもまぶしく感じました。自分的に歌姫アンゼルセンの「わたし達は、命を売っているのよ」の一言がとても印象に残っています。この中でのエルは彼女たちが持っていないものを持ってるんだけど、その優しさがどこかサーカスには不似合いだと思うし、自分の体の一部を失っても「サン=テグイジュペリ」であろうとしたルウには敵わないと思う。
最後のエルとルウの結末はどこか対照的に感じました。
綺麗に完結しているんだけど、個人的にシェイクスピアVSアンゼルセンの誇りを掛けた覇権争い編も読みたい・・・。
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